サーバーダウンやデータ消失といったトラブルによって、クライアントやユーザーに損害を与えると、エンジニアが賠償しなければならないことがある。IT業界は、急速に拡大していることから慢性的な人手不足に悩まされており、多くのエンジニアは激務に耐えながら多忙な日々を送っている。そのため、過労によるミスが生じることも少なくないのだ。
会社に勤めているエンジニアの起こしたトラブルは、会社が損害賠償をカバーしてくれる。だが、個人事業主の場合は、自力で損害賠償の義務を果たす必要がある。こうしたトラブルを避けるには、まず契約内容が重要だ。エンジニアがどの範囲まで損害賠償責任を負うか、契約で決めておくことが欠かせない。
想定外のトラブルが起こって損害賠償責任を負った際、賠償義務を果たせるだけの資力が必要となる。元々資力が十分であれば問題ないが、中には多額の損害賠償金の弁済が困難になる個人事業主もいるだろう。そこで、業務過誤賠償責任保険と呼ばれる、IT事業者専用の損害賠償責任保険に加入することが望ましい。
この保険はほかの賠償保険と異なり、免責期間がなく、成果物の納品直後のトラブルも補償される。また、ユーザーに支払う損害賠償金はもとより、訴訟になった場合の弁護士費用やコンピュータ記録復元費用なども補償されるのだ。個人事業主の陥りがちなトラブルの対処法として、極めて有効だ。個人事業主はいつ何時何があるかわからないので、損害賠償責任を理解しておくことを心がけよう。